マッサ・カンタービレ~ミュージック・スタディ~ 114

口に運ぶと、言葉では表現しきれないほどのなめらかさが広がり、香りが鼻先をくすぐり、冷たさが火照った体をそっと鎮めてくれます。
その瞬間、周囲の景色までもが味わいの一部になるのです。
石造りの建物、鮮やかな花々、通りを行き交う人々の声。ジェラートを食べながら感じるイタリアの街並みは、まるで五感すべてで味わう風景画のようでした。
ジェラートそのものの美味しさだけではなく、「その場所で、その季節に、その空気を吸いながら食べる」という体験が、唯一無二の味わいをつくっていたのだと、今になって思います。
夏が来るたびに、イタリアの街角でジェラートを頬張ったあの瞬間が、静かに心の中でよみがえります。

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