
ドナウディの歌曲の多くは弟のアルベルト・ドナウディによって作詞され、音楽と詩が密接に結びついていると思います。詩の内容に寄り添った音楽表現が特徴で、言葉の意味合い、語感、響きなどを音楽で巧みに描写しています。詩が愛する人への情緒的で心が苦しめられる内容の場合、哀愁の深まる旋律と豊かな感情表現が特徴の作品を、また、詩の内容が永遠の優雅な姿を描写している場合、古典派の旋律美とロマン派的な情感が融合した作品を、つまり、詩と見事に融合した作品を作曲しています。
ステファーノ・ドナウディの音楽は時代の風潮や時流に翻弄されることなく、自身の美意識や美的感性を貫いた作品として、現在も多くの声楽家や音楽家に愛されていると思われます。