今日は箏について少し書いたいと思います。
箏の流派は大きく分けて2つの流派があり、それは山田流と生田流です。
私が演奏する流派は山田流です。
2つの流派の違いは何に重きをおいているか、もしくは何を発展させてきたかによって生まれました。
山田流は江戸で発祥した流派で、声楽を主とする箏曲を確立した、歌を中心とする流派なのです。そのため箏歌は歌の内容に重点をおいた物語性のあるもので、朗々と歌い上げます。その歌に対応するために箏の絃は太く、その絃をよりよく響かせるように、丸爪といった先の尖った箏爪を使用します。そして、歌をよりよく聞かせるために、また箏爪の性質を最大限に生かすために箏に対して正面を向いて座ります。
一方、生田流は上方(京・大阪)で発祥した流派で、箏の器楽的技巧を発達させ、その技巧に富んだ箏曲を確立しました。つまり、箏の演奏技巧に力点をおいた流派なのです。その技巧に富んだ箏曲を演奏するために箏の絃は山田流より細く、素早い手さばきができる角爪といった四角形の箏爪を使用します。そして、常に演奏技法に対応するため、箏に対して斜め45度に座ります。これにより箏爪のカドを箏の絃にあてたり、左手で相当遠くの絃を押すために膝を伸ばし、お尻をあげたりするのが楽になるのです。もちろん箏歌はあり、山田流とは違い、物語性や歌詞の内容というよりは抒情的なものが多い箏歌です。
箏の世界も奥深いものです。