
レスピーギの音楽技法は、ただの技巧というものではなく、音で物語る能力を持っていると考えます。目の前に情景が広がるのは、その精緻な技法と深い音楽的教養の賜物ではないかと感じます。
オットリーノ・レスピーギはボローニャ高等音楽学校で古楽を専門とするルイージ・トルキに師事し、16世紀から18世紀の音楽に強い関心を持ち、バロック期の音楽作品を研究や編曲し、古典様式を現代の響きで再構築することを行っていたようです。
また、1900年から1903年、ロシア帝国劇場管弦楽団の首席ヴィオラ奏者としてサンクトペテルブルクに滞在し、そのときにリムスキー=コルサコフに師事し研鑽を積み、精緻で色彩豊かな管弦楽法を学びました。
そして、ドビュッシーやラヴェルの影響を受け、複調や拡張和声を取り入れた神秘的な響きを創造し、フランス印象主義とは異なる、より劇的で構造的な色彩感覚の音響設計をしました。
レスピーギは19世紀のイタリア音楽の中で器楽の可能性を探求し、交響詩という形式でイタリアの風景や歴史を描き、イタリアのオペラを中心とした音楽文化に新たな潮流を作りました。
ですので、オットリーノ・レスピーギの音楽技法は、彼の多面的な学びと国際的な経験、そしてイタリア音楽の歴史への深い敬意と尊重に根ざしていると思われます。古楽への傾倒、新古典主義、ロシアでの研鑽、リムスキー・コルサコフの影響、印象主義、複調の導入、イタリア音楽の転換期、19世紀末から20世紀初頭の音楽的潮流などが彼の音楽に深い影響を与えていることが想像できます。
そして、レスピーギの音楽は過去と現在の間を結ぶような存在で、彼はイタリア音楽の伝統を守りながら、多角的な視野で革新をし、器楽ひいてはイタリア音楽の可能性を広げました。