ベルカント唱法は歌声の無限の多様性を求めて発展していきました。そのために叙情的な様式と華麗な様式の2つの歌唱法を探究しました。叙情的な様式は哀愁を帯び、田園詩的で感傷的な表現をし、響き、色彩、アクセントの美しさを目指した唱法で音色の様式化をしました。華麗な様式はアジリタ、母音唱法、繊細な装飾音を駆使して感情や激情を表現することを基盤に置いた唱法で技巧の様式化をしました。声楽家の意志に応じて、歌声の響き、色彩など様々な変化を自由自在に操り、いろいろな思いや感情を伝える方法がイタリアのベルカント唱法なのではと感じる今日此の頃です。