
ステファーノ・ドナウディの音楽様式は、時流に流されることなく、自らの美学を貫います。音楽が大きく変貌・変質した19世紀末から20世紀初頭の中で、同時代の作曲家たちと比べて非常に独創的な作品を創り出していました。
当時の他の作曲家とは異なった道を進んでいたと思われます。その時代は全音音階や中世の旋法を用いた無調性の音楽、つまり、旋律が曖昧で、幻想的で神秘的な雰囲気が特徴である音楽を追求していました。しかし、ドナウディは印象主義や無調性とは距離を置き、保っていたと考えます。彼は調性を保ち、旋律の美しさ・麗しさ・優美さ・華やかさといった旋律の魅力を重視し、聴衆に親しみと同時に歓喜を与え、また歌手にとっては歌うことに喜びを感じる作品を多く残しました。