
バロック音楽の感情表現は、その時代の芸術の核心と言える議題でした。ルネサンス音楽が調和と均整を重視したのに対し、バロック音楽は感情の演劇空間を舞台にしたような、劇的で熱情的な表現を探求しました。
バロック期の音楽家たちは、音楽が人間の感情を操作できると考えたようです。心理学や哲学・文学理論を基盤にし、喜び、悲しみ、怒り、恐れなどの感情を、それぞれに対応した旋律、リズム、和声で描写したと考えます。
バロック音楽ではホモフォニー様式が発展しました。ルネサンスのポリフォニーに対し、バロックでは主旋律と伴奏という構造が主流になり、主旋律が明確になることで、歌詞の意味や感情が直接的に伝わるようになりました。