
サリエーリはウィーン宮廷の楽長として、皇帝ヨーゼフ2世のもとでウィーン宮廷の音楽政策としての音楽教育の制度化にも関わりました。宮廷では音楽が政治的・外交的な役割も果たしていたため、優れた音楽家の育成が国家的な関心事でありました。
サリエーリはイタリア出身で、若い頃から声楽や通奏低音などのイタリア音楽の伝統的な音楽教育を受けて育ったと考えられます。このイタリア式の厳格な訓練が、彼の教育スタイルの基礎となっていたと考えます。
サリエーリ自身が恩師ガスマンに様々なサポートを受けて育てられた経験から、恩師と同様な信条のもと弟子たちの育成をしていたようです。これは当時の音楽界における師弟関係の文化的価値を反映して、師弟関係の重視をしていたと思います。