記憶の中の響き…。

イタリア留学時代、知り合いのピアノ調律師の工房に訪れたとある日のこと、その工房にとても上品な佇まいのピアノがあり、私がそのピアノに心奪われ眺めていたら、その調律師が「少し弾いてみるかい」と言ってくれたので、ほんの少しだけ弾かせてもらい、そして、美しい歌声のような、あたたかみのある音色と響きに感動したことを、ふっとした瞬間に思い出すことがあります。その時、その調律師が「現在生産されていないイタリアのメーカーのピアノだよ」と言っていたことも記憶しています。
ピアノはイタリアのバルトロメオ・クリストフォリによって発明されたという歴史があるのに、なぜイタリアには多くのピアノメーカーがないのだろうと私はしばしば思います。本物のイタリアの響きを奏でることのできるイタリアのメーカーのピアノがたくさんあればいいのになぁ…と思う今日此の頃です。

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