私は、良い人材を育てるために一番必要なことは常に競争の世界に身を投じることだと思います。つまり、安定した世界に身を置くのではなく、不安定な世界に身を置くことが大切なのです。
例えば、イタリアの国立音楽院の教授は、日本でいうなら国家公務員です。しかし、これは日本の公務員のように終身雇用みたいなものではないのです(もちろん日本の公務員に解雇の制度がないわけではないのですが)。1年ごとの契約なのです。もちろん成績が悪ければ、解雇になってしまうのです。だから、彼らは生徒を熱心に指導して、素晴らしい演奏家を育て、生徒のためにコンサートなどの演奏会を開いたり、マスタークラスや講習会を開催したり、また自分自身の演奏会などを積極的に企画しているのです。そして、それらの企画したものの結果もしっかりと出さなくてはいけないのです。私は、日本の公務員を想像していたので、公務員といえば解雇がないようなもの、安定した生活だと考えていたので大変に驚きました。
しかし、私はこれは良いことではないかと感じました。そして、すべての職業・すべての事が常に、このように競争のシステムが作用し、不安定の中にあることが最良と考えます。なぜなら、この不安定というシステムの中では必ず自分の実力を磨き上げなくてはならないし、それによって自分に被る恩恵・利益が大きくなり、それらが安定する可能性が生まれるのです。つまり、常に努力もするし、その努力に見合った利潤も得られると考えられます。それにすべての人が鍛錬をすることを知れば、様々な物事の価値を正しく認識できるようになるのです。
「自分の修練を何もせずに、恩恵・利益を受けられる」というのは、私はあまり関心をしません。なぜなら、零落を意味するからです。
良い人材を育てる!!!!

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