完成された歌手の育成法!!!!

私は、完成された歌手を育成するためにはどんな手法がいいのかと常に探求をしています。そして、いつもカストラートの書物を読みふけるのです。なぜなら、この時代こそ完成された歌手の黄金時代であり、優れた歌手を育てるためのヒントもあると感じているからです。
例として、その当時のローマの音楽学校(conservatorio)の毎日の授業を紹介します。
1時間目 難解な曲の歌唱
2時間目 トリルの練習
3時間目 パッサッジョの練習
4時間目 言葉の正しい純粋なイントネーションの練習
(歌を歌うときにいかなる歪んだ表情も避けるために、鏡の前で舌と口の形を観察しながら、先生立ち会いのもと行われる。)
5時間目 表現法の練習
6時間目 文学またはそれ以外の学問の探求(音楽以外の学問)
7時間目 音響理論の勉強
8時間目 対位法の勉強
9時間目 作曲の勉強
10時間目 ピアノの演奏・練習
11時間目 讃美歌もしくはモテットの作曲
12時間目 それぞれの生徒の能力に応じての学問(音楽以外の学問も含まれる)
そして、音楽学校の授業以外でもローマのあちこちの教会で歌ったり、巨匠の作品を聴くために出かけて行ったりもしました。そして、演奏や音楽鑑賞のあとは自分の先生に報告をしなければいけなかったのです。
また、モンテ・マリオ(ローマの北西にある高さ139メートルの丘)のアンジェリ門の前に行くこともしばしばありました。それは、歌を歌いながらエコーと聞き比べ、エコーから自分の声の欠点を知るためでした。

このように、ほぼ1日中音楽に関する学問・それ以外の学問を学んでいるのがわかります。そして、この授業が優れた教師のもとで毎日続くのです。(5~6年間毎日続いたとされています。)これは音楽を志す者にとって本当に夢のような環境だと私は思いますね。
次回、1つ1つの授業の目的を説明したいと思います。それではciao ciao!!

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